夫婦ですが何か?Ⅱ
自分はどうだろう?
振り返って確かめるように触れた肌はいつもとなんら変わらない。
でも確実に若さに溢れた物ではない。
そう・・・比べてしまえば悲しいかな彼の方がその肌に若さを保持している。
今更な事に気を配りだしたら次から次へと今更に視点が動いて。
彼とは5歳差なのだからそれも致し方のない事。
だけども、今までは大して気にもしていなかったけれど。
彼も態度や表情、言葉には明確にしなかったけれど。
「『うわぁ、ハリ無ねぇ。おばさん』とか思ってたりして・・・・」
「いや・・・だから俺そんな酷い事思ったり微塵もしないから」
「っ・・・」
一瞬抱いた懸念をポツリと苦笑いで口にして自分の残念な肌を摘まんでいれば、すかさず否定の言葉が出しっぱなしのシャワーの音に交じって背後から響き。
焦って振り返り捉えたのは浴室の扉を開いてその枠に寄りかかりながら苦笑いでこちらを見つめている彼で。
お互いに微妙な視線を絡ませて数秒。
先に動きを見せたのは彼の方で、腰に巻いていたタオルを外すとその場に置いて扉を閉める。
一瞬呆然とその流れを見つめていたけれど我に返ると手さぐりでシャワーを掴んで彼の顔に向けた。
「っ・・ちょーー!?」
「何しれっと勝手に入って来てるんですか!?『すぐ』だからと言ったのに大人しく『待て』も出来ないんですかあなたは!?」
「だ、だって30秒経っても戻ってこないからじゃん!?」
「アホですか!?本気で30秒で上がって来るとか思うな!!言葉の綾に決まってるでしょう!?」
「言葉の綾に抑制できる男心じゃないっての、」
ドンッ。
まさに・・・壁ドン?
しかも、これまたえらく扇情的な雰囲気で。
自分に害成すシャワーを阻止すべく掴まれた腕。
そしてその勢いで迫った姿から後ずさって背中に鏡の冷たさを感じて。
もれなく自分の頭の横につけられた彼の手で少女漫画的展開の完成だとどこかで思った。
そしてこれまた・・・見上げる彼と言ったら滴る水滴を取り除くために髪を掻き揚げていて。
明確になる整った顔を後押しするような水滴の流れにうっかり、
「・・・む、無駄にエロいですね」
「またかよ・・・、ってか、俺がする事は何でも無駄なんですか?」
「いや・・、何ていうか・・・普段から存在そのものがセクハラというか・・・」
「ねぇ?そろそろ本気で泣いていい?」
『ウザいからやめてください』
と、言ったら本気で泣きそうだから口を閉ざした。