夫婦ですが何か?Ⅱ
さて、どうした場面だろう?と考えてしまう。
不満げな表情の夫に風呂場で壁ドンされ、平常と違う私はいつも通りの何たるかが分かっていない現状。
と、いうか・・・大人しく待っていられない程欲情しているのかこの男。
相変わらず性欲には忠実で行動的だと感心もするし呆れもする。
そんな男の妻である私も大概なんだろうけど。
ああ、でも・・・、ちょっと・・・。
「あの・・・とにかく、・・・もうすぐ終わりますから、」
「うん、だからその瞬間待ってるんだけど?」
「・・・ベッドでどうぞ、」
「・・・・・・なーんか・・・また滅多にない乙女心なる物が働いての追っ払いでしょうか?」
「っ・・・とにっ・・・、本当皮肉で汲んでくれない男ですね!?」
「出たよ逆切れ、」
「恋愛経験浅いあなたは変なところで乙女心分からないんですね!」
「俺浅くないけど・・・ってか経験豊ーー」
「あなたの不誠実な過去の女性関係は恋愛とは違いますから」
「・・・・」
おお、さすがに押し黙った。
と、言うより、
何?その、驚きつつも『成程』と言いたげな表情は。
何故か私の失礼な物言いに憤怒する事も忘れ、逆に納得して顎に触れ頷いている彼。
別にそこで納得してほしかったわけでもないんですけど。
これまた微妙な会話の流れに身動きとりにくくなってしまったと、小さく落胆し軽く頭を抱えた瞬間。
「じゃあ、・・・俺のセカンドラブが千麻ちゃんって事だ」
「・・・・・はっ?」
不意に嬉々とした声が耳に入りこみ視線を上げて、捉えたのも声のままに嬉々とした表情。
今度は一体何に感極まっているのかと怪訝に眉を顰めて見上げてみれば、何やら気がついたそれにご満悦な彼が屈託のない笑みで私の頬をその手で包むと更に微笑む。
何だ?
今更惚れ直したりしないぞ?
・・・・可愛いけど。
結局はうっかり彼の笑みに心がくすぐられ、確かめるように魅力割増の顔を見つめ抜いていれば。
「千麻ちゃんの論で行けば俺って経験豊富ではあっても恋愛に関してはその感覚無知な男らしいんだよ」
「はっ?ああ、はい、そうですね」
「でも俺の中でもはっきりと【恋】って括れる女の子はいて、」
「ええ、こーー」
「芹ちゃんが初恋。だから・・・ね?ほら、千麻ちゃんが2番目」
「・・・・・」
「・・・って、・・・そっか2番目って言われて嬉しいわけないのか」
『あれ?間違えた』
そんなニュアンスの表情と言葉。
堂々とそれを宣言したけれど、よくよく考えたら本来相手が嬉々とする内容ではなかったと意識が追い付いたらしい。