夫婦ですが何か?Ⅱ
ようやく、溜めに溜めて体にこびりついて離れなかった葛藤が流れ落ちた気がした。
彼の何気ない単純で乙女心を汲んでいない一言で。
そんな一言にあっさり複雑で厄介だった感情を解きほぐされた私も単純で・・・、
「乙女心って何でしょうね?」
「ヤキモチです」
軽く自分に失笑し、方眉下げて彼を覗き込んでの問い。
それにどこか恍惚とした眼差しで見下ろした彼の声が即答で落とされ、思わず噴き出しウンウンと頷いて見せた。
まったくだ。と。
そんな私を未だフワフワと定まらない表情で見つめる彼のそれは歓喜からなのか?
ううん、分かっている。
歓喜以外あり得ないのだ。
「・・・っ・・可愛い~・・・」
「・・・馬鹿にしてます?」
「そんな切り返しさえもう・・もう・・・、」
堪らない。
そんな感じに歓喜からの苦悶を見せた彼が静かに私の額に額を寄せて。
「・・・・俺きっと明日死ぬ」
「縁起でもない。やめてください、路頭に迷うのはごめんです」
「だって・・・だって・・・千麻ちゃんが・・・あの千麻ちゃんが俺の事でここまでムキに・・・」
「何かその言い方だと普段私が全く執着見せてないみたいじゃないですか」
「っーーー生きてて良かった」
「もう会話が成り立たないとよく分かりました」
その都度言葉を弾こうが、今は脳内にピンクの花が舞っているらしい彼にはまともに届かないのだと理解して。
でも呆れるわけでもなく小さく息を吐くと出しっぱなしだったシャワーを止めた。
ようやく静かになった空間は少しの音でも反響しそうな。
湯気に一膜覆われた視界は非現実的にも感じて。
ああ、どうせ・・・私自身が通常外。
なら・・・、今日くらいはそのままで・・・。
「っ・・・」
意思のまま忠実に行動。
僅かばかりにあった距離を埋めるように彼の体に肌を合わせて密着し、自分の頬も彼の胸に触れさせる。
いつもと違う。
お湯で肌が滑る。
不思議な感覚だけども悪く無い。
この感覚でさえ独り占めしたいという私は相当彼に対して独占欲が強いのだ。
今更強烈に再認識させられた。