夫婦ですが何か?Ⅱ
「・・ちまちゃ・・」
「馬鹿な事言います・・・」
「・・・・う、うん・・・」
「らしくない、とか・・・茶化さないで・・」
「うん・・・」
思わず念を押したのは、もう多少の冷静さが回帰している中の本心だから。
きっといつもの様に切り返されたら堪え切れない程の羞恥に沈むほど。
そしてまた必死に弾いた本心を自ら濁して曇らせて誤魔化してしまう言葉を吐くと分かっているから。
せめて、
この馬鹿になっている時間のセリフだけでもそのままの形で維持したいから。
そうして望みを零せば理解したように静かに返事を返した彼に安堵と意を決する息を吐き。
「私以外に・・・笑わないで・・・」
「・・・・・」
「私以外に、・・・触らないで、」
「・・っ・・千、」
「私以外に・・・・見せてほしくない。見られたくない・・・」
綺麗で羨望する・・・グリーンアイを。
向けないで。
言葉の続きを示すように彼の目の横に指先でそっと触れて。
見ていたのに絡んでいなかった視線を静かにピントを合わせていって。
ゆっくりと一致する。
そして捉えた彼の何とも言えない表情にこちらも困ったような笑みを浮かべると微々たる言い訳の補足。
「なんて・・・・不可能な独占欲です。
でも、本しーーっーーー!?」
言葉を言いきるより早く自分に与えられた浮遊感に心底驚いた。
全く予想していなかったそれに反応も遅れて、驚愕で混乱している私を他所に彼は行動。
いとも簡単に抱え上げられた体は彼にとっては大した重みではないのだろうか?
グラつくこともなくまるで翠姫を抱え上げるかのように私の体を抱き上げた彼が、声を発することもなく浴室の扉を器用に開けてその身を出す。
濡れた肌に浴室よりはヒヤリとする空気が触れて、寒いとまではいかない感覚に意識が走ったのも一瞬。
すぐに冷静な自分が浮上して彼の行動にさすがに声を上げた。
「ちょっ・・体!!水っ・・・」
ぽたぽたとお互いの体がら滴る水滴を成す術もなく、軽く嘆きながらチラリと垣間見た床は2人の痕跡を明確にしている。
はぁっ、と溜め息をつく間も一瞬。
まともにつかす間もなく、そしてその体に水滴を纏ったまま勢い任せにベッドに沈められた体。
濡れた体に張り付いてくるシーツの感覚が気色悪いと感じ、同時に湿気を帯びていくシーツに嘆きたくなる。