夫婦ですが何か?Ⅱ
本来であるなら縋るなんて事をしたくない相手でも、思わずその一言に反応し続きを求める視線を送ってしまって。
それに気がついてまた一笑。
そんな嫌味な男に心で舌打ちを響かせる。
「必死ですね。そんなに千麻の嫉妬に追い詰められてるんですか?」
「悲しいかな、一度苦い失敗してるもんでね」
「千麻は多少面倒な性格してますからね。何事に置いても自分を高めて、他より勝っていると自信を持つことで【あの】千麻を保ってるんですよ」
「うん・・・、で?」
「・・・・以上ですが?」
「はっ?」
「最大にヒントは与えたかと。あとはそれなりにご自身で答えを見つけるべきでは?」
「ムカつくっ!!」
「勤務中に私情な悩み相談に必死なあなたに、何を言われても痛くありませんが?」
鼻で笑ってフェードアウト。
結局のところ核心まではいかなかった助言に感謝の気持ちも浮上しない。
むしろモヤモヤが広がって不快感に満ちてますけど?
恨みがましく呪うようにその姿を睨んでみても、もう興味はないと視線もよこさない男は真面目に書類に視線を走らせる。
勤務に真っ当な分不満も言えず、渋々その不満を押しこめて中途半端な助言も頭に顔をしかめる。
つまりは、恭司の見解では千麻ちゃんは自分を保てない程自信を無くしていて、その対象は間違いなく紅ちゃんで・・・。
でも・・・やっぱり分からない。
なんで紅ちゃんなのか。
もし俺の特別であるという事が理由なら、芹ちゃんに対してもこんな風に取り乱してもおかしくなかった。
でも、彼女に対しては多少の嫉妬の姿は見せてもこんな風にはならなくて。
芹ちゃんは自分より劣ると見下していた?
いや、・・・そんな事はなかった。
じゃあ・・・何が違う?
「・・・・・・ダメだ・・・分かんない」
「でも、千麻ちゃんも厄介な対象に反応しちゃったよねぇ。紅ちゃんには妬くだけ無駄な気もするけど・・・」
「でしょ?俺本当にやましい事ないんだけどな・・・」
「まぁ、こっちがなくても乙女心的にはやっぱりスルー出来ないんじゃない?」
結局問題の回帰。
迷走は迷走のまま声を唸らせる事しか出来ずに視線を泳がせ溜め息をついて。
もう諦めて仕事に専念すべきかと寄りかかっていたデスクからその身を離した瞬間。