夫婦ですが何か?Ⅱ



ポケットの中から響くバイブ音。


すかさず取りだして確認すれば表情は【ハニー】と浮れた表示。


普段なら溢れんばかりの笑みで対応する俺も今日ばかりはそうはいかず、見つめる雛華にその表示を見せれば。



「不幸な手紙ならぬ電話じゃないといいね」


「出るのが恐くなるような事言うなよ」



心を軽くするどころか余計に応答しにくい一言を告げた男はその視線をPCに向けた。


若干の不安はあれど無視するのは違うだろうと、意を決して応答をタップし耳に当てると。



「はい、」


『ーーーー』


「ん?・・・千麻ちゃん?」


『ーーーーあうっ、あぁ・・・』


「あっ・・・翠姫?」



耳に響いたのはあどけない愛娘の声で、一瞬にして緊張から解放され表情が緩む。


多分、千麻ちゃんが気がついていないところで携帯を手にして遊んでいたのだと予測して、どうしたものかと苦笑い。



「翠姫~?おーい、ママに怒られるぞぉ?」


『うっ・・あっあっ、ーーーーゴソッーー』


『ーーーーーっ!!』




あっ、スピーカーに・・・なった?


不意に耳に周りの音がクリアに届いて、それと同時に響いた何かが崩れるような音。


いまいちその詳細は分からず疑問に眉を寄せて耳に入りこむ音に集中していれば。



『・・・っ・・いっ・・』



千麻ちゃん?



『・・・っ・・ごめっ・・・千麻、大丈夫?・・・痛い?』



えっ?


・・・・拓篤・・・さん?



『・・・っ痛いに・・決まってる、・・・重いし・・・焦りすぎだし、・・・何か興奮してない?』


『ん、いや・・・なんか・・・千麻いい匂いするなぁって・・・思って・・・』


『馬鹿じゃない。ちょっ・・・動かないで、無理っ、こっちもイクっ』


『あっ・・・ごめっ・・・でも・・・・、もう、どうなっても一緒じゃない?』


『・・・・・まぁ、・・・・もう今更なくらい乱れーープッーーー』



無心。


いや、放心。


無情に耳に入りこんだ、音声だけであるなら明らかなる疑惑の展開に。


そして疑惑たっぷりに立ち切られ無音になったそれが痛い。


えっと、


えっと、


自分に都合よく現状を予測すれば。


さすがに翠姫が傍にいるし・・・違うよね?


とても、とても、それらしい言葉の寄せ集めだったけど、


ないよね?!


千麻ちゃん!?






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