夫婦ですが何か?Ⅱ




「悪意なんて・・・・完全にない人なんていないんじゃないかな?」


「・・・・」



静かに入りこんだ言葉に、ゆっくり視線を動かして何度目かの振り返り。


今度はしっかりと絡んだ拓篤の視線や表情は少し真面目な物で。


でも真面目すぎないように軽く口の端はあげられて。


だからこそ変な緊張感抱かずにその姿と対峙する。



「・・・・・僕だって・・・悪意がある時はある。なかなかそれを表面化する勇気がないだけで。・・・なんか、そんな事に勇気って言うのもおかしいけどさ・・・・・」


「・・・・」


「僕は・・・ヘタレで・・・自分の好きなものにしか自分の意思を出せない奴だからさ・・・、

・・・・・・・・・逆に好きな物に程素直すぎる自分を晒しちゃう事もあって・・・・その中には悪意もあって・・・」


「・・・拓篤、」


「・・・・うん、」


「・・・・・もしかして、・・・別れた時の事言ってる?」



どこか静かに軌道がずれたのを感じて。


その先にあるのは時間の遡り。


どこかもどかしく終わったあの時間だと感じて確認を入れれば。



「・・・・・・ごめん・・・ね」


「・・・・」


「それだけを・・・ずっと言いたくて、・・言える瞬間がなくて・・・・不発弾みたいに抱えて後悔してた・・・」



肯定。


そして懺悔。


なんとかその空気が暗くなりすぎないように、拓篤なりに取り繕うように口の端をあげて。


でも・・・眉尻が下がってるわよ。


そして・・・・今更じゃない。



「・・・もう、忘れてた」


「そ、そうだよね・・・ごめん、感傷的に引っ張りだしーー」


「って、言ったら拓篤は気が楽なのかもしれないけど、本当はもの凄く記憶に残ってて、今思い出しても腹立だしいわ」


「っ・・・ご、ごめん!!いや、本当にあの頃の僕被害妄想入ってて最悪だったってーー」


「でも、気にしてない。・・・誰だって・・・自分じゃ感情をコントロールできない時があるのよね。たとえそれが大切な人でも・・・・」


「・・・・」



今の自分が・・・・本当にそうだから。


あの時の拓篤が今の私の様な心境であったなら仕方のない事だったのだと理解して納得できる。


そして・・・・あの時に理解出来ていたら・・・別れることはなかったのか?



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