夫婦ですが何か?Ⅱ
「馬鹿じゃない。ちょっ・・・動かないで、無理っ、こっちもイクっ」
「あっ・・・ごめっ・・・でも・・・・、もう、どうなっても一緒じゃない?」
私が突っ込んだせいかその身をどかそうと拓篤が動き、その瞬間に近くにあった危うくも無事に重なっていた本が崩壊。
それに焦りを見せた拓篤の動きで、更に自分の近くのDVDも危険だと声を響かせ忠告。
一瞬は警戒し不動になった拓篤も、燦燦たる崩壊後のそれらを捉えると苦笑いを浮かべ諦めの一言を告げて。
私も再度捉えて小さく息を吐き諦め。
「・・・・・まぁ、・・・・もう今更なくらい乱れた部屋よね。片付けるのには変わりないし・・・」
「でしょ?・・・・それに・・・、ちょっと僕が限界・・・かも、」
「・・・・こんな年増にも女として認識して反応してくれてありがとう」
「ち、千麻は年増じゃっ・・・ってか・・・僕同い年だし・・・」
「男はいいのよ。一番の売り時は30代でしょ」
「そ、そうなの?」
「程よく経済力も落ち着きも社会性も備わって最高じゃない」
「ぼ、僕は・・・どれもいまいち備わってない気が・・・」
自分には当てはまらないと乾いた声を響かせのそりと起き上がる姿。
ガラガラと無情に崩れる音が響いて、もう諦めているからそれに意識を走らせる事なくその身を起こすと拓篤を見つめる。
「・・・・・それが良い男の条件でもあるまいし。・・・私は拓篤が拓篤らしいのがいいところだと思うけれど」
「・・・僕・・・らしく?」
「少なくとも・・・拓篤らしい優しさの効果で鬱々していた私は多少回復してここにいるけど」
「・・・・そ、・・・そっか、・・そっか、なら・・・千麻が元気になるなら・・・いっか、」
馬鹿。
ふわりと屈託のない笑みを浮かべた拓篤に懐かしみと胸の動悸。
こういう人であったのだ。
だからずっと変わらず好きで傍にいて、
好きでいたくて、
傍にいたいと思っていて。
選んだのは【好きでいる】為に離れる道。
でも、こうして笑い合う今があるというのなら、後悔はあれど過ちではなかったのだろうか。