夫婦ですが何か?Ⅱ
呼び止められた彼女が特に動揺はなく振り返って、純粋に疑問の眼差しを俺に向けて。
その視線に後ろめたさや罪悪感はない。
だからこそ余計に言葉を発しにくくなり微妙な表情で不動になると。
「あの・・・どうしました?」
「いや・・・その・・・昼間さぁ、」
「はい、」
「・・・・拓篤さんの部屋に・・いた?」
「いましたけど」
「・・・・・・翠姫が悪戯で電話かけてきた時があってさ・・」
「・・・・・・ああ、・・あの時発信してたんですか?気がつかなかったです」
遠回しに探りの言葉を告げて、その言葉でその瞬間を回想した彼女が思い当ったらしく数回頷いて。
それすらも後ろめたい事はないらしくまっすぐに向けられた視線に小さく安堵する。
「あの時・・・スピーカーになっててさ、なんかごたごたしてたっぽかったから・・・大丈夫かなぁ?って・・」
「大丈夫でしたけど・・・痛かったです。翠姫が積み重なってるDVDの山を崩そうとして、それを阻止しようとしたんですが雪崩れてしまって。・・・焦った拓篤が躓いて私の上に倒れ込むし・・・」
いいながら眉根を寄せて腰を摩った彼女を捉えて心底安堵。
なんだ・・・、
いや、無いとは思っていたけどこうやって明確にされれば更に安堵だ。
馬鹿みたいに嫉妬の感情優先で食ってかかって問い詰めていたら逆に険悪になっていたところだと胸を撫で下ろし。
不安が一つ解消すればさっきよりはマシな笑みを浮かべ彼女を捉える。
「それは・・・ご苦労様だったね、」
「午後からは部屋の片づけ手伝って、もういっそ夕飯も作ってしまおうと今に至ってますね」
「出張家政婦さん?」
「拓篤に言わせると一家に一台『ドラ〇もーん』的な対象らしいです」
「フハッ、せめてドラ〇ちゃんが可愛いのに」
「秘密道具なんて持ち合わせてないんですけどね。・・・・なんなら赤いリボンでも頭につけてましょうか」
「赤い下着の方が俺的には興奮する」
「・・・・・セクハラです」
「セクハラって言うよりリクエストです」
「・・・・・記憶してあればいつか考慮しましょうとも」
「期待してる」
ああ、
千麻ちゃんだ。
いつもの、
皮肉屋で愛らしい・・・彼女。