夫婦ですが何か?Ⅱ
デジャブにも感じる。
確かに過去にも同じような時間を経験しているけど、もう二度とある筈がなかった。
ってか・・・・あっちゃダメなんだって!!
「紅ちゃん!!?」
「お風呂で寝てたら危ないよ、茜」
「違うっ!問題はそこじゃないっ!!ってか、何で入ってるの!?」
「・・・・・汗かいて気持ち悪かったから」
「いや、理由はいいよ!そうじゃなくて、俺入ってるじゃん!?何しれっと一緒に入浴しちゃってるの!?」
「・・・・・溺れないかと思って。・・・そんな焦らなくても今更でしょ?恥ずかしがらないでよ」
「違うっ!恥ずかしい、違う!ああああ、もうっ、ど天然すぎて伝わってないと思うけどさぁっ!!焦ってるんだって!!困るっ、真面目に困るからっ」
「・・・・・・・何で?」
「っーーーーーー」
真面目に・・・暖簾に腕押し。
困るのは彼女に悪意がなく、本気で何がいけないのかと思っているところ。
きっと、彼女の心を代弁すれば、過去に何度もしている事なのに何で今ダメだと言われるのかが分からない。そんなところで。
それを理解してはいるけれど、今回のこればかりは本気でマズイ。
嫌な感じに跳ねる心臓は決して興奮したとか言うものでなく、本当に焦り一色。
懐かしいとは思えど彼女の裸に色めいた感情なんて浮上しない。
ただ今はひたすら・・・、
「ちょっ、本当に早く出てっ、」
「えー・・・入ったばっかなのに、」
「っ・・じゃあ、俺が出るっ、」
「何で?もうちょっと話そうよぉ」
「っ・・ちょっ、離して紅ちゃーーー」
一向に自分の焦りは伝わらず、出ていく気配のない彼女に痺れを切らすと自ら動いて。
それすらも良しとしない彼女の手に捕まって、引き戻されながらも抵抗の言葉を響かせた瞬間。
言いきるより早く響いた扉の音。
それに意識と視線を移して硬直。
薄々・・・
こんな展開になるんじゃないかと思っておりました・・・。
捉えたのは浴室の扉を開けた状態で、こちらの現状を捉えて不動になっている千麻ちゃんで。
唖然としたまま不動になって数秒。
そんな彼女の次の反応に怯えてこちらも不動で数秒。
彼女の目が数回瞬きをしたのを確認し、和ませるように口の端をあげてみせ。
「えっと・・・多分・・無理だろうけど・・・誤ーー」
「お邪魔しました、」
「誤解ぃぃぃ!!」
怒鳴るでもなく、無表情で一言を告げると静かに素早く閉められた扉。
無情な音を立てて閉まった扉を合図に、水しぶき大量にその身も出して彼女を追って。
咄嗟に掴んだタオルを雑に腰に巻きながら廊下に出れば、まさに玄関扉を開錠している彼女を捉え、髪から体から滴る水を無視し手駆け寄り手を伸ばす。