夫婦ですが何か?Ⅱ





拗れて、捩れて・・・。


予想もしない場所まで引き戻されたと感じる。


確かに築き上げていた物が音もなく崩れて粉のようになって。


深い深い奥の方から息を吐いて、焦燥感に満ちる心を必死で抑え込むと躊躇いながらも声を響かせた。



「っ・・・拓篤さんの部屋に行って・・・、俺も・・・着替えたら拓篤さんに説明しに行くから・・・」


「・・・・はい・・・」



自ら、視線は絡めないように他所を向いて。


声も極力少なく言葉を選んで。


今はただ・・・これ以上彼女の負担になるような事は避けたい。


俺が出来る得る限りの事は俺がしてやりたい。


それが自分にとっては辛い選択でも。


俺の了承の言葉に一瞬の間の後にその身を動かし始めた彼女の気配。


ガチャリと扉が開く音がして、彼女の気配がこの部屋から消えることに切なさと寂しさが一気にかけ上って。


行かないで。


そんな心の言葉が頭に響いた直後。



「・・・・不完全な妻で・・・ごめんなさい、ダーリン、」


「っ・・・」



振り返った時にはすでに閉まりかけている扉。


チラリと見えたのは彼女の服の端だけ。


そして無情に響いて暗くなる玄関扉の内側。


不完全な妻でごめん?


それを言うなら・・・・不甲斐ない夫でごめん。だよ、千麻ちゃん。



「っ・・・情けなっ・・・」



本当に・・・情けなくて、頼りなくて。


全然・・・・駄目じゃんか俺・・・。


気がつけば壁に寄りかかってその身を支えてもらって、彼女の気配がなくなった室内に苦しくなる。


これも・・・デジャブ。


死にたいくらいに辛かった時間の。


でも、まだ・・・・あの時ほど最悪じゃない。


まだ、猶予がある。


間違えられない。


今度こそ、・・・・踏みとどまってみせないと。


最悪な状況になったおかげか、本気で緊張感高まり気を引き締める。


こうなってしまった物は今はどうしようもない。


今すべきなのは無理矢理にも彼女を縛りつけてリハビリをするのではなく、もっと根本の原因を解消すること。


彼女の嫉妬の根本。


それを解消できれば・・・・解決すると思うんだ。



「でも、まずは・・・」



犯罪者ルックが一番先にすべきことか。


皮肉に笑って裸の体を見下ろして溜め息。


久々に窮屈な装いの再開だと諦めたようにその身を起こすとクローゼットに向かった。



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