夫婦ですが何か?Ⅱ
ようやく冷静になった目で拓篤さんを捉えて。
俺の気迫になのか、呆れてなのか、眉尻を下げて驚愕の表情を向ける姿に力なく笑って見せた。
「・・・・すみません。・・・ちょっと・・・トリップしてました。こんな男の女々しい感情なんてウザいだけですよね」
「え・・、いや、その・・・僕も大概女々しい男だし・・・トリップしやすいから親近感沸くけど、」
「・・・・拓篤さんのトリップとはちょっと違うかと、」
「ア・・ハハッ、うん。・・・・でも、・・・良く分かったよ」
「俺の不甲斐なさが?」
「千麻は・・・愛されてるんだなぁって、」
「っ・・・」
拓篤さん、
その理解と、微笑みは少し狡い。
言いきってニッと微笑んだそれに悪意はないのだろう。
それでも思わずドキッとした俺は異常なのか。
ヤバいな・・・、ちょっと・・・、
「拓篤さんに萌えた・・・」
「な、なんでぇ?!えっ・・ぼ、僕ノンケ・・」
「分かってます。俺もバリバリ女の神秘にしか興味のない男ですから」
「ねぇ、女の子って神秘的で素晴らしい」
「拓篤さんも案外男として正直ですよね」
「だって僕女の子大好きだし。・・・リアルなお付き合いは苦手だけど・・・」
「・・・・千麻ちゃんと長かったのは彼女の許容範囲が広大だったからでしょうかね?」
話が脱線していく。
丁度彼女の名前浮上した瞬間にようやくそれに気がついて、軌道修正の為に一息ついて。
情けなくも嘆いた姿を見せた羞恥心もグッと奥に押しこむと、チラリと扉を見つめてから拓篤さんに戻した。
絡んだのは困って見えるけど好意的な笑み。
「ちょっと・・・、まぁ、複雑だけど・・・分かったよ」
「・・・・」
「自分を縛りつけててでも・・・千麻には変な意味では触らない」
「・・・・・ん・・はい、・・・信じて・・ます」
「翠姫ちゃんもこっちでいいんだよね?」
「はい、・・・多分、今の千麻ちゃんには翠姫の存在は必要だと思うんで・・・・ご迷惑・・・おかけしますが・・・」
「うん・・・・、でも、・・・茜君は、平気?」
不意に投げられた自分への心配。
大丈夫か?
大丈夫じゃない。
大丈夫なんかじゃない。
でも、
堪えるしかない。