夫婦ですが何か?Ⅱ
彼女の性格を知っているから分かる。
人を悪戯に悪にして自分を保つのを嫌悪する彼女だから。
だからこそ嫉妬なんて感情に振り回されるのが苦手で。
そんな千麻ちゃんが、
口にしてしまった。
形にしてしまった。
自分で嫌悪する黒い感情を形に。
絶対に・・・・自分に嫌悪した筈だ。
どうしよう。
聞けば聞くほど・・・・千麻ちゃんが壊れていく音が聞こえるみたいで。
痛くて・・・不安で・・・。
「・・・・・・『私の茜だったのに、』」
「っ・・・・」
響いた言葉に驚愕して顔を上げて。
今まさにそう言われたのかと焦って心臓が変な跳ね方をした。
それでも捉えた彼女は視線を他所に、感情もない感じにその続きを口から零す。
「盗られた感覚だって言ったら呆然としてたなぁ」
「・・・」
「冗談で『返して?』って言ったら固まってた」
「っ・・・そんな事言ったら洒落にならないでしょ!?」
「・・・何で?何が?だって、私と茜は別に恋人同士でもなかったし。それにすぐに彼女にも冗談だってフォローしたわよ。
『誰の物だとか自分の物だとか、軽薄な独占欲は抱いてないから安心して』って、」
「っ・・・」
そんな事・・・・言われたの?
今事実・・・独占欲に葛藤してる千麻ちゃんにそんな事?
しかも・・・危機感抱いている相手の口から『軽薄』だって軽んじて詰られて。
実際、紅ちゃんには悪意なくな一感想だったって事も分かるけど。
分かるけどさ。
悪意無い、紅ちゃんの天然だって分かるけどさ。
それが通用するのは・・・・紅ちゃんを取りまいて、理解している人達だけで。
千麻ちゃんは・・・・頭では理解はしてても対応は出来ないよ。
千麻ちゃんには全て・・・悪意にしか感じない。
そう感じる千麻ちゃんは、そんな風にしか取れない自分にどんどん嫌悪して沈んで。
悪循環。
もう、自分でも分からなくなるほどの。
「っ・・・・」
もう、何を言葉にしていいのか分からない。
ただ、彼女の言い様のない葛藤は今更痛感して、堪えるように額を押さえていれば。