夫婦ですが何か?Ⅱ
結局話す気はないのかよ。
自分に背を向けて入り口に歩きだした後ろ姿を目を細めながら見つめ。
秘書の業務として扉を開いて俺を振り返った姿が笑みだけを返すのに完全に諦めた。
また、焦らし。
こいつ本当に嫌いだ。
ムスッとしながら開かれた扉から廊下に歩きだし、特別声をかける気も振り返る気もなく歩みを進めれば。
「感情に素直に、馬鹿正直に恥ずかし気もなく好意を告げるのは、女子から見たあなたの利点でもありますが、」
「あっ?」
「肝心な物が抜け落ちているんですよ。・・・特に、千麻には必要である肝心な物が」
「・・・・・千麻ちゃんには必要?」
歩きながら歩みを進めて、エレベーターホールにつくと慣れた素早さでボタンを押した男がこちらを向いて。
「千麻は・・・努力家です」
「知ってるよ」
「陰ながら努力して、努力して、その努力を認められる事に生きがいを感じているような。そん所そこらのリーマンより男気があるというか」
「知ってるよ」
「なら、自ずと答えは見えてくるんじゃないですか?」
「見えないから迷走してんだよ。もういいからはっきりと答え言えって」
言葉を増えどまったく答えは見えてこず、痺れを切らすと明確な答えの言葉を要求して。
そんなタイミングに高い機械音の後に目の前の扉が風を巻き起こしながら静かに開いた。
一息置く様にその中に乗り込んで、ゆっくりと扉が閉まり密室が完成したところで会話の再開。
「つまりは、あなたは総称しすぎているんです」
「それ、さっきも言ってたけど何なんだよ?」
「確かに、女性は分かりやすい『好き』『愛してる』なんて言葉に歓喜し安堵する物だと思うんです。だから、あなたの方法はあながち間違いじゃなくて、」
「うん、」
「でも、それが落ち度」
「落ち度?」
「自分でははっきり言っているつもりだから、何で伝わらないか相手と食い違って迷走するんですよ」
「言ってる・・・【つもり】?」
はっきりと言っているのに、【つもり】にそれは落ち込んで、相手には完全には伝わっていない?
まったく分からない。腕を組みながらエレベーターの壁に寄りかかり、その答えを確認するように天井を見つめる。
まぁ、答えは書いてないのだけど。