夫婦ですが何か?Ⅱ




捉えたのは、吹き抜けのフロアの2階の位置。


軽く身を乗り出し俺を見下ろして、俺はそんな彼女を見上げていて。


過去に、立ち位置逆に似たような事があったね。


でも、こうして逆に立つとさ・・・・、


ロミオとジュリエットみたいだよね。


そう言ったら・・・・きっと、



『ウザい』って言うんだろうね千麻ちゃんは。



2階からの俺の名の絶叫。


当然集中を集めてチラチラと他者の視線を感じて。


でも自分の意識はそんな事をもう捉えてはいなくて。


何故かこの場所にいる彼女への疑問とか、彼女らしからぬ行動とか、とにかく彼女の姿にしか意識が働かない。


そうして見つめていれば、彼女が携帯を取りだし指さしてそれを示して。


理解して自分の携帯も焦りながら取り出しかざす。


そうした瞬間にはもう彼女の携帯は耳にあって。


手の中で震える振動に少しドキリと心臓が跳ねる。


その目で表示を確認すれば更に。


でも・・・いいの?


大丈夫なの?


まぁ・・・・



「もしもし・・・」



出ちゃうけどさ。



『あなたは馬鹿ですか?』



開口一番の悪態に思わず失笑して額を押さえる。


そうして確認する彼女の顔は遠巻きにも冷めた表情で、口調のままの非難の眼差し。


ああ、でも、


千麻ちゃんだ。



「やぁ、ち・・・ハニー、どうしたの?俺が恋しくなった?」


『大会社のご子息ともあろう男がキチガイにもサングラス、パーカーなんて犯罪者めいた姿で出社するとどんな目で見られるのか確認したくなったんです』


「で?どう?ご満足?」


『おふざけも大概に、そんな非常識な格好で出社されては妻としてどんな管理をしているのかと、私の立場もあった物じゃないんです』


「ええ~、全てはハニーへの愛情表現じゃない」


『私を悪妻にでも見せたいので?』


「ちょっと・・・そうかも、」




その一言を軽い感じに切り返せば、ここからでも分かる彼女の驚いた顔。


それに思わずくっくっくっと噛み殺したように笑えば、見事不愉快な声を返す不機嫌な奥様。



『離婚しますか?』


「しないよ。そんな文字もうかなり前に自分の辞書から排除しました」



だから、脅しにそんな事言っても絶対に反応なんてするもんか。






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