夫婦ですが何か?Ⅱ





ああ、でも、


出来ていなかったから。


気がつけば望んだそれでなかったから。


千麻ちゃんの【乙女心】を理解してなかったから。


だからこうして揉めて拗れたんだよね。


結果、不甲斐ないのは自分だと思うのに、今もこうして自分より男前な彼女の精一杯の告白を受けている。


必死に、過去とは違う。


あの時とは違う。


俺に呆れて手を離すことの方を選んだ彼女とは違って、今度は必死に俺と並ぶ道を模索して選んで提案して。


ねぇ、俺達さ。


自分たちでは忘れがちだけど、


凄く凄く、繋がりは強く頑丈になっているよね。



「・・・・」


『翠姫の前では、誰かの前では、』


うん、


『良い母で、良い妻でいますから』


だから、俺だけの前でもいいんだって。


『でも、あなただけでいい』


うん、そうだよ。


『あなたの腕の中でだけでいい、』


「っ・・・千麻ちゃん、」


『ただの女に戻って・・・、武装を解いて、力を抜いたその一瞬に、

私を必要だって理由をたった一つでいいから言って欲しい』


「・・・・・」


『でも・・・・それは・・・・我儘ですか?』



その質問はさ、


凄く凄く判断の難しい一言だね。


キチガイに、いつでも言葉で愛情欲しがってるような女が口にしたのなら、確実に鬱陶しくて我儘だと言い捨てる。


でも、


いつだって、自分より他人の事に必死で、


自分の事は二の次で、


なんだかんだ、意地悪な言葉で詰っても、一番に俺を支持して寄り添ってくれる千麻ちゃんのそんな一言はさ、



「いくらでも・・・、

撫でて、抱きしめて、口づけて。

千麻ちゃんがうんざりするくらい褒めちぎって甘やかしてあげる」



可愛くて、甘すぎるおねだりにしか聞こえない。




『っ・・・・・聞くだけで・・・ウザい』


「千麻ちゃんが望んだのに?」


『あなたが言うと、通常の響きよりたっぷりとはちみつの様な甘味料もプラスしたねっとりとした感じに聞き取れて、』


「うん、その上から更にチョコレートと砕いたキャンディーも追加しようか?」


『・・・・っ・・吐きそう』



あっ、そうだった。


普通に話してたけど、千麻ちゃんは俺アレルギーだった。





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