夫婦ですが何か?Ⅱ




彼女の息を飲むような音が機械越しに聞こえたと思う。


多分、上手く伝わったと思って口の端をあげて彼女を見上げて。


見下ろす彼女の定まらない表情にうっかり失笑すれば、眉根が寄った。



『・・・・何故、すでに婚姻関係にある夫からこんな場所でプロポーズを受けているんでしょうか?』


「ん?愛の再確認の為じゃない?ほら、今のこの現状もロミジュリみたいでドラマチックなーー」


『ウザいです』


「ブッ・・・・アハハハハハ、」


『何が可笑しいんですか?』


「いやぁ、千麻ちゃんは期待を裏切らないなぁって思って」



やっぱり、


そんな反応だったね。


まさに予想の的中だと満足して笑って、今も不満げに見下ろしている彼女に軽く手を振って笑って見せる。


そんな俺の耳に言葉短く響く彼女の要望。



『見たい、』


「・・・・・何を?」


『私の輝かしい所有物が見たいんです』


「・・・・あっ、」



これ?


そんな感じに目を覆っているサングラスを示して触れてみて、それを確認した彼女がコクリと頷くのを捉えて判断に迷う。


いや、いいんだけどさ。


俺は全然、外してもいいんだけどさ。


ついさっき、


吐きそうだってアレルギー発揮してたのにいいの?


そんな懸念で外すのを渋っている耳に。



『まさか、・・・もうすでに他の女性に譲渡済みですか?』


「一生千麻ちゃんの物ですよ?」


『じゃあ、早く。・・・・見たいんです』



急かすような言葉に、躊躇いつつもゆっくりとその目を覆っていたガラスを取り除いていく。


外して胸元に引っ掻けて、一瞬躊躇ってから顔を上げて。


俺を見下ろす彼女とまっすぐに視線が絡んだのを感じる。


沈黙で数秒。


どこか緊張して、怯えて、逃げ出したくなるような。


無表情でまっすぐに見下ろしてくる彼女の体調も心配で。


堪え切れない沈黙に、その口を動し始めた瞬間に、自分よりも早かった彼女の声が頭に響いた。




『私はやっぱり・・・見下ろすグリーンアイの方が好きですね』


「っ・・・・」


『・・・・・受け身の可愛い女子じゃなくてすみません』




ああ、そっか、


それは・・・紅ちゃんと比べた言葉遊びだね。


でも。俺も・・・。




「千麻ちゃんに見下ろされるの・・・大好きで快感、」


『最後のが余計でセクハラですが見逃しましょう』



クスリと響く彼女の笑い声に脱力。


ねぇ?


よく分からないけど・・・、


リハビリは不要?


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