夫婦ですが何か?Ⅱ









ーーーーNIGHTーーーー





Side 千麻



チラリと時計に視線を走らせて、確認した時刻に小さく笑う。


示された時間は平常時よりは早い。


それでも、今日はきっと就業時間ピッタリに、むしろフライングまでして帰ってくるだろうと予測して。


そんなタイミング計ったように響く玄関の開錠音。


すぐに鬱陶しい声が響くはず。



「ただいま、ハニー!!」



うん、ウザい。


思った通りに絡み付くような甘ったるい声音とテンションで、短い廊下を小走りに駆けてくる気配に視線を移して。


次の瞬間には騒がしさの入室。


興奮全開、満面の笑みで。


だけども私と隣り合ってキッチンに立つ姿とカウンターにある姿にその勢いが半減したようにも感じる。



「・・・・おかえりなさい」


「あ、うん、・・・・なんか、その2ショットは微笑ましく感じ取っていいの?」



複雑な笑みで、一応確認だと指さしてくる彼に心の中で噴き出してしまう。


いや、確かに、今までの流れを考えれば彼の反応は妥当だろう。


キッチンで調理をしていた自分の隣には同じくエプロンをして立つ紅さんがいて。


それを眺めるようにカウンターに拓篤がいる。


色々と各々複雑な時間があったわけで、決して爽やかすっきりな関係とは言えない4人の集合だろう。


でも、もう、


一つの区切りはついたと思うのだ。



「紅さんにスープの作り方伝授してもらってました」


「あ・・・うん、紅ちゃん・・・まだ居たんだ」


「何よ?私が居たらいけない?」


「いや、いけないって言うか・・・・千麻ちゃんと大っぴらにラブラブ出来ないっていうか、」



馬鹿。


相変わらず馬鹿でセクハラな一言をさらっという男だ。


そう思って目を細めたと同時に、拓篤が飲んでいたビールを噴きだし苦笑いで『ごめん』と告げる。



「ほら、拓篤には刺激が強いんですから、馬鹿で実現しない妄想口にしてないで着替えてこられては?」


「えっ、実現しないの!?『おかえりダーリン、チュッ』を楽しみに浮れて帰ってきた俺の心はどこにやれば!?」



本当に分かりやすい男。


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