夫婦ですが何か?Ⅱ
突如、一方的に決められてしまったルームシェア。
押しかけ女房的に紅さんが住み着いて世話を焼いて、この部屋を見る限りはその存在はありがたいものにも感じる。
でも、
記憶に新しい拓篤の疲労に満ちていた姿を思いだせばそう簡単に笑い話に出来ない気がして。
あの強引な同棲開始からしばらくは嘆いた拓篤が度々我が家の扉を叩いて。
その一番とも言えた原因は、
「最近は紅さん、ちゃんと自分のベッドで眠っているの?」
「ん~・・・・まぁ、・・・まちまち。まだ、たまーに寝ぼけて僕のベッドに入りこんでくるかな・・・」
苦笑いでそれを言っているけども、多分内心は複雑な感情に満ちているであろう拓篤。
ルームシェアを始めて早々に拓篤が嘆いてきたのは、寝ぼけた紅さんが拓篤のベッドに潜り込んで寝てしまう事。
その度にソファーで夜を明かしていた拓篤の目の下には、あの頃色濃くクマが縁どられていたのだ。
そのクマを見る度に彼と複雑に苦笑いを浮かべていた私。
それでも数か月経った今も、なんとか同棲を続けている2人の関係はどうなっているのだろうか?とも興味が疼く。
「今日は紅さんは?」
「なんかSANCTUARYの本社?に行ってくるって」
「また撮影あるのかしら?」
「ううん、なんか新作ドレスの仮縫い出来たやつ見に行くんだって」
「彼女との生活は慣れた?」
「うーん、まぁ」
「食事は?美味しい?」
「うん、なんか家事全般は本当にしっかりしてて、ご飯も栄養のバランス考えてくれるし、」
「掃除は?」
「ご覧の通りかな、」
「結婚しないの?」
「結婚はーーーーーーーーーって、ええっ!?」
てっきり流れでするっていうかと思った。
それなりにふわりと笑って満更でもなさそうな生活感を感じたから、つい悪戯心で関係性を掘り下げるように言葉を挟んで。
それに笑顔で切り返そうとしていた拓篤がすぐに言葉の意味を把握すると血相を変える。
みるみる赤面した顔と否定を示すように焦って顔の前で激しく振られる手。
虐めすぎたと瞬時に感じ、苦笑いでその姿を見つめてしまう。