夫婦ですが何か?Ⅱ
「な、・・け、結婚とかっ・・・だって、紅さんで・・・ええっ!?僕そんな・・・」
「うんうん、拓篤悪かったわ。そこまで取り乱すとは思わなかったの」
「ちっ、違・・・本当、紅さんとはつきあったりなんかも、」
「【つきあったり】は・・ね、」
「っ・・・・千麻、」
少し牽制するような響きに何とも言えない含みを感じる。
彼と私がそうであった様に同じ部屋で生活を共にして、ましてや同年代の男女。
つきあっていないにしろ何かしらあったのではないかと野暮にも探りを入れてしまった。
でも、それを肯定するようにも感じる拓篤の反応にクスリと笑って、それ以上はプライバシーだと追及をやめた。
ソファーで眠っている翠姫を覗き込んで、そっと手を伸ばせばすかさず横から拓篤の手が伸びて。
そのまま抱え上げるとこちらを振り向きふわりと微笑む。
「順調でも・・・無理しちゃダメだから」
「子供一人くらい抱えられるわよ」
「でも、最近までフラフラだったんだから。こんな微々たる協力位は素直にさせてよね」
「・・・本当、私を取り巻く男達の過保護っぷりときたら、」
呆れたように呟いても、決してその好意を拒むでもなく受け入れて。
拓篤に翠姫を抱えてもらいながら、その身をようやく自宅に帰し始めて、拓篤の部屋の扉を開けて先にその身を出した瞬間。
「おや、不倫現場でしょうか?」
そんな響きに目を細め、声の主である人物を理解しながら視線を向ける。
隣室である自宅を通り越しての隣室の前。
多分、今程帰宅したらしいスーツ姿の隣人・新崎だ。
「白昼堂々な不誠実。嫉妬深い旦那様が嘆きますよ?」
「別に罪悪感一切ない訪問ですので。チクるなりなんなりお好きにどうぞ」
「残念。不誠実であるなら是非私もお相手願いたかったのに」
「・・・・絶賛妊娠中の女に色気を感じますか?」
「案外許容範囲広いので」
何も問題がないと、にっこり微笑んだ姿にこそ問題を感じてしまう。
いつの間にか背後にいた拓篤も苦笑いでこの会話を聞き入れていて。
いつまでもくだらない会話をしていても仕方ないと、自宅の鍵を開錠していく。