夫婦ですが何か?Ⅱ




今でさえ薄暗い部屋でもその顔の紅さを明確にして、しどろもどろで落ち着きがなくて。


本人も無意識にその頭に紅さんを浮かべていたんじゃないかと予想してしまう。


いや、これは勝手な私の願望なのだろうか?


ドラマや映画でくっついてほしい2人を見ているような。


拓篤の意思を無視して、偶然の成り行きで起こったドラマチックな隣室事情を私的に楽しんでいるだけ?


だとしたら自粛しなくては、と、再度自分の好奇心に満ちたものは奥に仕舞い込んで。


話を逸らすように翠姫の頬にそっと触れる。



「翠姫は彼に似て人懐っこい子になってほしいわ」


「もう充分にその素質ありそうだよね」


「でも・・・年頃になったら考え物かしら」


「ああ・・・絶対に美少女になりそうだもんねぇ。告白とかひっきりなしじゃない?」


「そうして彼の様な己惚れ捻くれた恋愛観持ちませんように」


「千麻・・・、無邪気な子供の寝顔に真剣な顔で願掛けしないで」



うっかり本気で、娘の将来を危惧して言葉を落とせば、軽く引いた感じの拓篤が苦笑いでそれを指摘。


でも、本当に心配なのよ。


何せ父親であるあの男の若気の至りを見てきた私だから。



「生まれる前からこの子にも言い聞かせないと」


「そんな胎教!?」


「重要でしょ」


「そう言えば・・・もう分かったの?どっちか」


「・・・内緒」



自分のお腹を摩ってから問いかけた拓篤を見上げ小さく笑って見せて。


返答に困ったように笑った拓篤がその手をそっと私に伸ばして、一瞬躊躇ったように不動になってから、その指先は私の頭に乗せられた。



「まぁ・・・元気ならどっちでも可愛いよね」


「拓篤も早く自分の子供産んでもらえばいいのに、」


「っ・・・そ、そん・・だ、・・ま、まだ現役だし、・・恋人なんかじゃな・・」


「・・・・別に私は【誰】とは言ってないけどね」


「っーーーーー千麻嫌い!!」


「私は好き」


「っ・・・」



ああ、本当。


なんて虐めがいがあって可愛いんだか。


でも、


なんとなく分かったわ。


満更でもなく、少しは紅さんを意識しているって事に。


だとしたら、変な月9より展開が楽しみな隣人のドラマチック同棲。


静かにこっそりと、暇な主婦らしく楽しもうじゃない。



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