夫婦ですが何か?Ⅱ
馬鹿な会話をして、ふざけて笑って、過去もしたけれど、過去とは同じにならない関係。
その事に悲哀もしたけれど、今はこれでいいのだと。
こうなる事が必然だったのだと思っているし、拓篤にも思って欲しい。
拓篤の中で私が過去の登場人物になって、お互いが主役になれる相手が早く定まればいい。
そんな事を本気で願う人。
大切な人だ・・・拓篤は。
気がつけば2人して薄暗い部屋で翠姫を覗き込んで。
会話もない部屋に時計の音だけが響いていたけれど、意識すれば外からの音が小さく混じって印象を強めてくる。
それに気がついたのは拓篤も一緒で。
「そっか・・・花火大会だもんね。出店も結構並んでたし、今はアナウンスの練習かな?」
「このマンションからは絶景よ。近いし、アナウンスもばっちり聞こえるの。でも・・・拓篤の部屋からは角度的に見にくいのかしら?」
「どうだろう?見えなくはないかなぁ。千麻は茜君が帰ってきたら行くの?」
「ううん、たまには行きたかったけれど・・・人ごみに疲れそうだし、翠姫も寝ちゃったから」
「そっか、じゃあ、ベランダで茜君と?」
「まぁ、それが彼と私のスタンスというか・ね。一番しっくりくる場所なのかもしれない」
「茜君、楽しみに帰ってくるだろうね」
「あ、やめて。想像すると鬱陶しいから」
嫌悪を示すように眉をしかめて言いきれば、堪え切れずに噴きだした拓篤が『S』だと私を詰って笑い声を噛み殺して。
そんな拓篤に『何が悪い』と開き直って腕を組んで立ち挑んで。
それでも、
人の事を言えない。
むしろ私の方が。
その瞬間にワクワクとして子供のように楽しみにしているのだ。
楽しみなのよ・・・ダーリン。