夫婦ですが何か?Ⅱ




馬鹿な会話をして、ふざけて笑って、過去もしたけれど、過去とは同じにならない関係。


その事に悲哀もしたけれど、今はこれでいいのだと。


こうなる事が必然だったのだと思っているし、拓篤にも思って欲しい。


拓篤の中で私が過去の登場人物になって、お互いが主役になれる相手が早く定まればいい。


そんな事を本気で願う人。


大切な人だ・・・拓篤は。


気がつけば2人して薄暗い部屋で翠姫を覗き込んで。


会話もない部屋に時計の音だけが響いていたけれど、意識すれば外からの音が小さく混じって印象を強めてくる。


それに気がついたのは拓篤も一緒で。



「そっか・・・花火大会だもんね。出店も結構並んでたし、今はアナウンスの練習かな?」


「このマンションからは絶景よ。近いし、アナウンスもばっちり聞こえるの。でも・・・拓篤の部屋からは角度的に見にくいのかしら?」


「どうだろう?見えなくはないかなぁ。千麻は茜君が帰ってきたら行くの?」


「ううん、たまには行きたかったけれど・・・人ごみに疲れそうだし、翠姫も寝ちゃったから」


「そっか、じゃあ、ベランダで茜君と?」


「まぁ、それが彼と私のスタンスというか・ね。一番しっくりくる場所なのかもしれない」


「茜君、楽しみに帰ってくるだろうね」


「あ、やめて。想像すると鬱陶しいから」



嫌悪を示すように眉をしかめて言いきれば、堪え切れずに噴きだした拓篤が『S』だと私を詰って笑い声を噛み殺して。


そんな拓篤に『何が悪い』と開き直って腕を組んで立ち挑んで。


それでも、


人の事を言えない。


むしろ私の方が。


その瞬間にワクワクとして子供のように楽しみにしているのだ。





楽しみなのよ・・・ダーリン。







< 541 / 574 >

この作品をシェア

pagetop