夫婦ですが何か?Ⅱ
フンッと鼻であしらって体の向きをリビングに向けて、背後で小さくクスリと笑った声を聞き入れながら部屋に入室。
とりあえず彼の好意の品々を順に片して行こうとテーブルに並べ、一番最初に金魚をバケツに移動させた。
後は単純に食べ物が大幅で、皿に移すか軽く悩み、すぐに祭の気分を味わうならこのままだろうと決断を下して。
袋に入れたままベランダにそれらを持っていくと、小さなテーブルに綺麗に並べて雰囲気を出す。
気がつけば空はもう完璧な濃紺で、花火大会が始まるまでもカウントダウンだろうか。
彼もすぐに着替えてここに来るであろうと、ビールを取りに部屋に入れば、着替え終わった彼がまさにビール片手にそこにいる。
ビールの他に私用の炭酸水を持って。
「花火始まっちゃった?」
「まだです。でもそろそろかと、」
言い終わるより早く一発目が上がる音に2人して視線をベランダに向けて、小走りに外に身を出せば、濃紺に広がったのは金色の大輪。
この地域では今年最後の大きな花火大会だろう。
チラチラと火の子が散っていって、完全に消えきるまで2人で無言で空を見上げて。
どこの提供の花火だとか、花火の種類なんかを説明するアナウンスが聞こえる。
「本当・・・毎年の事ながら場所取りに困る事なく絶景ですよね。説明も聞こえるし」
「別にそれを狙ってこの部屋住んでるわけじゃないけどね」
花火の合間に手摺りに向かい合っていた体をくるりと返して、彼が持っていたビールを開栓すると、私には開封した炭酸水を渡してくる。
それを受け取り、暗黙のルールの如く2人でそっと乾杯を示して。
そんなタイミングに再開し上がり始めた花火を横目で確認。
色とりどり、形も様々な花火を、手摺りに身を預け見つめていれば。
すっと横から差し出された物に焦点が合い、鼻を掠める甘い匂いで詳細を理解。
「アイスが大丈夫なら食べれるかと思って」
「はい、まぁ、」
「りんご飴の方がいい?」
「いえ、こちらの方が食べやすそうですから」
それに甘い匂いに惹かれる。
その誘惑に乗って差し出されたチョコバナナを受け取って口元に運んで甘味に浸る。
そんな私を微笑ましいとばかりに隣で彼が見つめていて。
2口目に噛り付いたくらいにフッと零れた笑い声に視線を移した。