夫婦ですが何か?Ⅱ
それでも、まさか望むままに自分を与える筈もなく、本当に華やかに広がる花火を捉えて手摺りに寄って。
彼も渋々寄りかかるように身を預け、でも次の瞬間には純粋に花火の魅力に口の端を上げていたりする。
そんな彼を捉えて、すぐに花火に視線を移して。
ああ、でも、そろそろ・・・・。
「千麻ちゃん、」
「っ・・・はい、」
「・・・何でそんな驚いた反応?」
自分がまさに声をかけようとしていたタイミングだったからです。
なのに先手を打たれたような呼びかけに馬鹿正直に驚きを見せてしまうと、逆に彼にもその驚きが伝染して。
お互いにポカンとした顔で対峙して数秒。
「あ、いえ、・・・何でしょうか?」
「うん、・・・えっと、何だっけ?・・・・あっ、名前、」
「名前?子供のですか?」
「そう、翠姫は翠って色使った名前でしょ?それに合わせてまた色を使った名前がいいかなぁと思うんだけど、」
「まぁ、そうですね。その考え方でいいと思いますが」
「で、俺としてはねどうしても千麻ちゃんイメージの青系を使いたいんだよね」
「青系・・・碧とか藍とか、」
「うーん、そこなんだよ。碧くんもいるし、我が妹君が藍だし」
「なるほど、」
確かに気がつけば身近に使用されてしまっていて、我が子につけるには考える物がある。
ああ、でも、それで言ったら。
「翠姫も翠さんと被ってますが?」
「それも思った。だけど、それで碧まで使ったら暁月兄弟崇拝してるみたいじゃない?」
苦笑いでビールを口に運ぶ彼の横顔を見て軽く笑って。
でも、彼の言い分にも納得し、自分も思案しながら眉根を寄せる。
青系か、
色の種類は上がれど、名前にするには適したものがなくて。
それこそ名前に出来そうな物は前者に上がった物なのだ。
「難しいですね」
「でしょ?早く性別分かればなぁ」
言いながら細めた目で私の腹部を見つめて、中の子供を見透かすようにしている彼を小さく笑って。
パッと濃紺を紅く染め上げた花火に意識を移し、静かに消えていく火花を見つめる。
そうして花火に意識を移しすぎていて、近づいた彼の気配に気がついたのは背中に彼の胸が密着したと同時。
追って柔らかい力で抱きしめられ、帯を気にして隙間をあける様な気遣いに僅かにときめいてみたり。