夫婦ですが何か?Ⅱ





「はっ?何・・」


「聞いて!」



怪訝な表情で私の奇行に問いかけてきた彼をすぐに制して。


それに従った彼が【聞け】と言われた対象を拾い上げるように口を閉ざして。


あっ、どうやら探知した。


眉根の皺がすっと伸ばされ、細まっていた目は逆に大きく広がって瞬きを忘れる。


そんな彼の反応を見つめ、どこか緊張して心臓が早く鳴り響いて。


花火ではなく、流れるアナウンスに今は集中し息を飲むのも忘れる。


上がる花火は一般から出資の物で、何かしらの記念による物が多い。


結婚記念日だったり誕生日だったり、直前の花火は米寿のお祝いに子供や孫からの物だったと思う。



『次に上がります花火は、一番最初に打ちあげられる花火の色にご注目ください。

この度、2人目ご懐妊の奥様から旦那様への遊び心のある報告。上がります色が緑が先であるなら男の子。
赤が先であるなら女の子だという事です』



「・・・っ・・はぁっ!?何っ?これ・・・千麻ちゃん!?」



読み上げられたアナウンスの声に狙った通りの反応を示してくれた彼が、形のないそれを指さして確かめるように勢いよくこちらを向いて。


それに動じることなく腕を組みながら手摺りに寄りかかると。



「見逃しますよ?」


「っ・・・」



耳に響く特有の打ち上げ音。


私の注意に焦ってその視線を空に戻して、そんな彼をクスリと笑うと、私は打ち上がる色の分かっているそれを静かに見上げる。


パッと濃紺の空に広がって、たった一色の花火を強調してから間をあけて華やかに上がる花火。


でもきっと、彼には最初の色の印象以降はその色彩を捉えていない気がする。


一発目を捉えてからは他の花火を目には映していても、捉えているのはもう別の事。


それを証拠に空に広がるのが煙だけになっても、ポカンと同じ場所を見上げている姿に小さく笑って。



「っ・・千麻ちゃーーーーんんっ!?」



ようやく感極まった感じにこちらに振り返り、口を開き言葉を弾こうとした彼に奇襲。


不意を突いて体当たりに近い感じにつき倒した体は、案外楽に床に沈んで。


翠姫の為に、コンクリートの床にプレイマットを敷いていた状況に今は感謝。


おかげでさした痛みもなく、倒れた彼の上からその姿を見下ろし、驚愕に揺れるグリーンアイと視線が絡むと優越に微笑んで見せる。




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