勝手に古今和歌集
最近わたしは毎晩、この衣を裏返しにして眠りについている。





ずうっと昔、幼馴染みの人魚に教えてもらった話。





『夜の衣を裏返して寝るとね、好きな人の夢が見られるんだって!』





―――たわいもない迷信。




わたしはそんなの、これぽっちも信じていなかった。




なのに、待っても待っても彼に会えないことで悲しんでいたある晩、ふいに思い出したのだ。





それ以来、わたしはずっとこの迷信を実行するようになった。





衣を裏返してかぶると、粗い編み目から飛び出したささくれのせいでちくちくしてたまらないんだけど。




でもわたしは、頑張って毎日裏返しにしている。





あぁ、いつになったら、この迷信の効果が出るのかしら?






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