勝手に古今和歌集
夢でもいいから、会いたいの。




会って、もう一度、ちゃんとお礼が言いたいの。




そして、それから―――





そんなことを考えながらうとうとしていたら、ふいに、小魚たちが騒ぐ声が聞こえてきた。





いったい、なにごと?





わたしは貝殻のふたを開け、隙間から顔を覗かせた。





外の様子を窺っていると、魚たちが大急ぎで散っていくのが見えた。





彼らが逃げてきた方向に目を向けると。





―――地曳き網だわ!





わたしは大慌てで貝殻の中から飛び出し、全身を使って矢のような速さで、逃げ惑う魚たちと逆方向に泳いでいった。





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