薔薇の夢をあなたに
「…以上が私の知る古い歴史だ。」
長老が語り終わった後、しばらく誰も口を開くことができなかった。










「おとぎ話は…おとぎ話ではなかった…ということですね。」レイは静かに沈黙を破った。










「今、なんらかのきっかけで封印が緩んでいる。もし、封印が完全に解けてしまえば、今の比ではないほどの魔族が地上に溢れるだろう。」
「止めることはできないのですか?」











「いや、解ける前に封印しなおしてしまえばいい。ただ…」
言いよどむ長老。










「どうしたんですか。」
「ただ、一回目の封印よりも強い魔力が必要になる。」
















当時の魔力の水準は分からないが、サタンを含む地上の魔族を封印したという強力なものだ。
それより強力なものなんて…











「問題ない。僕がいる。」「レ、レイ!?」
自信ありげにニヤリと笑うレイ。正面の長老もうなずいている。














「ふむ。確かに、青の魔導士殿は非常に強力な力をお持ちのようだ。そなたがいれば、封印はかなり確実なものになるであろう。」










「封印には何人でも関われるのか?複数でいいならうちの【黒の団】の魔導士を全部使えるぜ。」デイヴィスが口をはさむ。









「術者が増えるということか…おそらく問題ないはずだ。ただし、石は必ず三つ必要だ。大地の力を借りなければ、サタンを封印することはできん。」
「分かった。…となると、あとは【月の石】と【星の石】を手に入れるだけだな。」
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