薔薇の夢をあなたに
「本当ジュリエットのこととなると、あいつは…」
「団長…あの…??」





団長はため息をつくと、こちらに向き直る。
「ジュリエット、星の国から直行でここまできたから、みんな少し疲れている。
中へ案内してもらってもいいかい?」







レイがいなくなると、
一気に緊張が解けたようにみんなは座り込んでしまった。
「はい!!こっちです!!」







私はみんなを支えながら城の中へと戻った。
エリーと共に軽い食事や、風呂の用意を済ませて、
みんなのベッドの支度をした。







まだまだ傷がのこる団員も多く、
何人かは魔法で処置をした。








一通りのお世話が終わって大広間に戻ると、
そこには団長とロゼットさんと
すごいスピードで会話しているレイの姿があった。







「何度も言う、僕は反対だ。まだ早い。」
「なぁレイ、お前だってわかってるだろう?
もうそんなこと言ってる場合じゃないんだ!!」









私はふらっと机に近づいた。
「団長様方、ジュリエット様です。」
言い争う団長とレイの視線が私を捉える。







「ジュリエット!」
レイが素早く駆け寄ってきてくれる。







エリーに借りたメイド用の服を着て、袖をたくっている私を見て
「あぁ、君をまた働かせてしまったね、すまない…」
困ったような顔で謝られる。








「別に私は大丈夫よ、それより何の話をしていたの?」
「いや、君は気にしなくていい、
疲れただろうからもう部屋で休むといい。」
レイは私の肩に手を置くと、部屋に戻そうとする。









私はその手をぐっと押し返す。
「そんなことより、どういうこと?
レイと一座のみんなが知り合いっていうことは何となくわかった。
でも、私を守るとか、部下とか、意味が分からないわ。
ねぇ、教えてレイ。」










後ろから団長がレイに声をかける。









「レイ。もう諦めろ。
姫様は聡明な方だ。
いつまでも隠しておくのは不可能だったんだよ。」
「くっ…」








「ジュリエット、こちらに来なさい。
君に隠していたことがあるんだ。」
「団長?」






「君には知る権利がある、そして知る勇気もある。
さぁ、ジュリエット。ここにかけなさい。」







私は導かれるまま、団長の隣に腰掛ける。
レイも諦めたように私の真向かいに腰かける。
ロゼットさんも緊張したような面持ちで同席している。
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