魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました
「でも、中の様子がわかった方がいいと思わない? いきなり乗り込んでいくのは危険だと思うよ」
「そうだな……。セリの言う通りだ。頼むよ」

 勇飛くんが私の手を軽く叩いた。私は目を閉じて、心の中で呼びかける。

 この辺りにいるコウモリさん、私のところに来てください。

 刹那、木の葉がざわめくような音が立てたかと思うと、バサバサと羽音が聞こえてきた。

「来てくれた!」

 嬉しくなって顔を上げた私は、目の前に広がる光景を見て、腰を抜かしそうになった。

「こ、こ、こんなに~!」

 何十羽というコウモリが、木立の上を旋回しているのだ。

「あ、ごめん、誰か一羽でいいんですけど」

 私の呼びかけに、コウモリたちはしばらく考えるように空を舞っていたが、やがて一羽を残してほかのコウモリたちは森の方へと帰って行った。

 私はふぅっと息を吐く。右手を差し出すと、手のひらにコウモリが舞い降りてきた。といっても、宙づりが彼らの本業。私の右手の小指に後ろ足を引っかけてぶら下がっている。

 うう、やっぱりまだ慣れないよぉ……。でも。

「私の目となり耳となって城の中の様子を伝えてちょうだい」
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