魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました
勇飛くんがふっと目を開けた。
「よかった、死んじゃったんじゃないんだね」
「もうダメだと思ったんだ。目の前が真っ暗になって……でも、急に力が湧いてきたんだ。体中に熱いものが巡る、みたいな……」
勇飛くんが起き上がると同時に、私はその場にくずおれた。頭が床に落ちる寸前、彼の手が支えてくれる。
「セリ、何をした? 俺に何をした?」
勇飛くんが必死の形相で私を揺する。
「アナバイオーシス」
私は小さく笑って答えた。
「何だよ、それ」
勇飛くんの顔が霞んできてよく見えない。最期までずっと見ていたいのに。あなたの顔を見ていたいのに……。
大広間の喧噪が、鼓膜に薄い膜でも張っているみたいに、くぐもって聞こえてくる。みんなが戦っているんだろうか。その騒がしい音の中から、サンストーン大佐の低い声が聞こえてきた。
「アナバイオーシスは……魔法使いの命と引き替えに剣士の命を助ける呪文だ」
「セリ! なんてことをしたんだっ!」
体を揺すられている感覚も、もうほとんどわからなくなってきた。
「よかった、死んじゃったんじゃないんだね」
「もうダメだと思ったんだ。目の前が真っ暗になって……でも、急に力が湧いてきたんだ。体中に熱いものが巡る、みたいな……」
勇飛くんが起き上がると同時に、私はその場にくずおれた。頭が床に落ちる寸前、彼の手が支えてくれる。
「セリ、何をした? 俺に何をした?」
勇飛くんが必死の形相で私を揺する。
「アナバイオーシス」
私は小さく笑って答えた。
「何だよ、それ」
勇飛くんの顔が霞んできてよく見えない。最期までずっと見ていたいのに。あなたの顔を見ていたいのに……。
大広間の喧噪が、鼓膜に薄い膜でも張っているみたいに、くぐもって聞こえてくる。みんなが戦っているんだろうか。その騒がしい音の中から、サンストーン大佐の低い声が聞こえてきた。
「アナバイオーシスは……魔法使いの命と引き替えに剣士の命を助ける呪文だ」
「セリ! なんてことをしたんだっ!」
体を揺すられている感覚も、もうほとんどわからなくなってきた。