にせパパ、はじめました。
「き、如月くんどこ行くの…?」

「そこにカフェがあるから、そこで話を聞く」


俺がそう言うと、西城は目を見開いた。

「だ………大丈夫だよ…!これはあたしがいけないから……」


手を握る力が強くなり、西城は俯く。




…………転入してから色々あったのか?


いきなり知らない場所に来てハイハイ家出します、なんて人まずいないだろう。

いや………それを言ったらまず家出自体しないか。


しかもこんな街のど真ん中のデパートなんかに?


……………うーん………分からないな……


「パ、パ…!ふ、冬っ…疲れ、た……!」

後ろからゼーゼーと息を切らしながら、冬は俺についてくる。


さっきまであんなにバレないようにと考えていたのに、なんか………………どうでも良くなったな。












そうこうしているうちに、カフェが少しずつ見えきた。


少し急ぐ。

「…………とりあえず、話聞くから。な?」


「……!」



多分、今もし翔や友人達と会えばそれこそややこしくなる。


涙目の美少女転入生の手を掴んで、さらに小さい子を連れて歩いてるんだからな………








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