にせパパ、はじめました。

久しぶりの買い物ということもあり

何故か俺もテンションが上がってしまいそうだ…



「ぱ、ぱぱっ!!!ちょこれーとがあるよっ!!!」

「チョコぐらいどこにでも売ってるだろ…」



80円くらいのチョコ1つで素直に喜べる冬と


………ちょっと高めのアイスを買うか迷う俺。


いつのまにこんな汚れたんだろうなぁ……



悩んでいても決まらないので、冬が欲しがってたお菓子とおもちゃ、適当な服を買って、買い物は終了した。


……バイト約3週間分の大出費である。




とりあえずお昼は家にあるやつで作ろう。




































「ぱぱ……おやすみぃ……」


だいぶ疲れたのか、いつもの時間よりもかなり早くに寝付いた冬。


今日買ったお菓子は一瞬で無くなった。


ばいばい俺のバイト代………




おもちゃを抱きしめながらすうすう寝息を立てている。


…………可愛い。



起こさない程度に、少しだけ頬を撫でてやった。


「んむぅ……」





…………




「………冬」



おまえは、



一体誰なんだよ…?




「なぁ、なんで俺はぱぱなんだ…?」





どこから来たのか。


なんの為に来たのか。




気持ちよさそうに寝てるその横顔からじゃ、何一つわからない。
 



「…………冬……




お前は、ほんとに…………」




















ポロ



















…言葉に詰まったのは




見てしまったから。









「………やぁ……だ………ママ………ぱぱ…っ……………」




苦しそうに唸りながら、



涙を流す冬を。





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