にせパパ、はじめました。
「………!」
突然の冬の涙にどうすることも出来ない俺は、とりあえず涙をぬぐってやった。
「……そうだよな」
何があったのか
冬は何故俺のとこに来たのか
何一つわからないけど、
冬はきっと、何かに一生懸命で、俺に何かを伝える為にここに来たんだ
って、それだけは分かる。
「ぱ……ぱ…………」
「…俺はここにいるぞ、冬」
寂しそうにおいてある小さな手を
ぎゅっと、握った。
・
日曜日。
空のご機嫌はだいぶななめだったのか、朝から雨が降り続いている。
……まあだからって、冬のご機嫌がななめになることはないんだが。
「ぱぱっ!見て!まいまいひーろーずっ!」
「……おー、かっこいいなー」
「ぶーー、思ってないでしょーーーっ!!」
「思ってる思ってる」
昨日の泣き顔はどこへやら。
随分とご機嫌がいいようだ。
まだ少ししか一緒にいないのに、こうも馴染んでしまえるのだから
慣れって、怖い。
雨はいっそう強くなってきた。
天気予報によると、明日の朝まで降るらしい。
