【完結】遺族の強い希望により
最後の恋だけが、全く違う形で終わりを迎えた――つまり、結婚という形で。

同世代の仲間内では若干遅れを取りもしたが、恋は愛に変わり、恋人は妻となり家族となった。

今妻のことを愛する気持ちが、あの時と比べて劣っていると思ったことなど一度もなかった。


結婚から数年、こどもがまだ出来ないのは自分か妻どちらかの体質に問題があるのかもしれなかったが、互いに隠し事も遠慮もなく、前向きに治療についても話し合えている。
出来れば自然に授かりたいが、あと1年経っても恵まれなければ病院へ行ってみよう、と2人の考えはまとまっていた。


高嶋隆司はそうして、間違いなく『あの頃』ではなく『今』を生きていた。
< 146 / 450 >

この作品をシェア

pagetop