【完結】遺族の強い希望により
ジェシカには子どもがいて、彼女はシングルマザーだった。
書かれている年齢から逆算すると、子どもが産まれたのは彼女が留学期間を終えて帰国した翌年だ。

手紙にそう明記はされていなかったが、あの時出来た自分の子であることに間違いないと彼は確信した。


隆司が咄嗟に考えたのは妻のことだった。

この事実を隠すべきではないことは頭では分かっていても、子どもが出来ないことを気にしている妻に対してこの告知はあまりにも残酷ではないだろうか。

決して裏切ったわけではない。
けれど夫に他の女との間の子どもがいたと知ったら当然ショックだろう。
加えて、夫婦の間に子が出来ないのを自分のせいだと責める可能性もあった。
< 148 / 450 >

この作品をシェア

pagetop