【完結】遺族の強い希望により
まずは自分が冷静になって事実を受け止めねば、と言い聞かせ、手紙に再び目を落とし続きを読み始めた。


『ねえ、オーストラリアのクリスマスの話を覚えてる?』


曖昧に核心を避けるようにして、ジェシカは語る。
今頃になって、という後ろめたさが、彼女の方にもあるのかもしれなかった。


彼女の娘は結婚を間近に控えているらしかったが、ジェシカは真のファーザー・クリスマスを知らない娘のことを不憫がっていた。

母娘仲も良く娘の婚約相手とも良い関係を築けているようだったが、オブラートに包まれた筆ぶりからでも、ジェシカの娘が『ファミリー』に対して少しばかりコンプレックスと不安を抱いている様子なのが伝わってきた。
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