【完結】bitter step!
立ちっぱなしだったボクに、響先輩が椅子を引いてくれた。


「あ、すみません」

促されるままに席に着く。
この人のこういう紳士っぷりが全く嫌味じゃないのは、なんでなんだろう。


「……もしかして、昼休みも勉強する気?」

いつものお昼の荷物に加えて持ってきた勉強道具に、先輩は気付いたようだ。

「ちょっと、今回はいつもにも増してヤバそうで」

と、へらりと笑って誤魔化す。


根を詰めすぎることを、先輩は心配してくれているみたいで。
今日の放課後は勉強できないから、と、今やらねばならない事情をはっきり言ってしまっても良かったが、そうすると余計に気を遣わせそうだから黙った。


ボクだって本当は、休み時間は休みたいけど――。


明日起こる事の次第では、今日だけでなく明日以降も美紗の勉強会自体がなくなってしまう可能性だってなきにしも、なのだから。
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