secretkey~内緒のドアを開ける君~
「そうだな」
「どこ行くの?まだ病室から出ちゃまずいって」
「トイレついてくんな」
「うん」
1人になるとやっぱり寂しい
携帯を開いても着信があるのは実家からくらいだ
急にドアが開いて低い声が耳元でした
「君は何も知らないまま踊っていればいいんだよ」
水瀬じゃない嫌な汗が背中を伝う
「誰だ」
振り返れば警察署のno2が立っていた
「可愛い後輩くんが銃で撃たれたって聞いてね
はいこれ桜屋のどら焼き好きだろ?」
にっこりと笑うが実際は笑ってない
「ありがとうございます」
「日向すこし痩せた?」
「別に」
「桜のこと残念だったよね殉職だって
まぁしかたないよね事件に巻き込まれたわけだし
越阪部ひとりの犯行
警察内部にも気狂いはいたわけだ」
「それが真実か?」
「さあね、やあ海くん傷は大丈夫かい?」
「辛うじて肺はそれたからな」
「ふ~ん桜のこと残念だったね」
「出て行ってください黒羽さん」
「残念だった?
おまえらが殺したんだろ」
「さあなんのことかな」
「水瀬」
「黙ってろワンコ」
「でも病院で大声はまずいって」
「傷に響くよ海くん」
僅か数秒のこと水瀬がその場に膝をついた
「っ···」
「カルテ通りなら確かこの辺りだよね撃たれたの」
黒羽さんはあろうことか傷口をとんと殴りつけていた
「水瀬」
「黙ってろ」
口の端から血が流れるのもかまわず水瀬が吠える
「死にたいの?
知らないふりして生きてたほうが数倍お利口さんなのに」
「それ以上、水瀬に近寄るな」
俺は水瀬の前に立ち黒羽さんの腕を捻りあげた
「いいのかな日向くん
君はお利口さんだからこのままエリート街道まっしぐらだと思ってたよ昇格の話しもあったのに」
「そんなのどうだっていい水瀬といれるなら」
「日向···おまえ」
「俺をここまでしてくれたのは水瀬だから
だから水瀬がいてくれるなら何もいらない」
「とりあえず帰るよ
君たちのことは上に報告する楽しみだよ」
低く笑ってその場を後にする黒羽
しばらくの沈黙のあと水瀬が言う
「おまえなぁもうちょっとやり方あるだろよ」
「ない」
「なんでそんなに固執するんだよ俺に」
「好きだからに決まってんだろ」
「はあ?」
「水瀬のことが好きで好きでたまんないんだよ」
開いた口が塞がらないとはこの事を言うんだろう
ぽかんとしている俺をよそに日向はしゃがみこんで口の端についていた血を舐めとる
やべっなんでこいつこんなエロいんだよ
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