睡恋─彩國演武─

呉羽は柔らかく微笑む。


「あれ、気付かなかったんですか?お久し振りです、脩蛇」


呉羽から、わずかながら邪気が発せられた。

だが通常とは比べ物にならないほどの強大で禍々しい邪気。

それを感じ取ったのか、隣に居た空良の額に汗が浮かぶ。


《マサカ……ソノ邪気、白虎カ……?》


「そのまさかです。青城の時以来ですね」


《…………》


「そんなに怖がらないでくださいよ。今は本調子じゃないんです。別に貴方をどうにかしようなんて思ってません」


(貴方をどうにかするのは、千霧様ですから──)


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