睡恋─彩國演武─
呉羽が支えてはいるが、まともに剣で突かれたせいか、痛みが酷いらしく呻きながらよろける。
「ぅぐ……由良………私は……」
「王様、動かないで下さい。傷を見ますから」
由良は赤く変色した布の上から、手のひらで優しく傷を押した。
「やっぱり……傷が浅い」
「……やっぱりって……」
傷を見つめながら口元を緩める。
「空良は、最初から王様を救おうとしていたんです」
どことなく誇らしげに見えた由良の横顔に、千霧は黙って頷いた。
初めて会った時より、明るい表情を見せるようになった彼に、喜びを感じる。
白王が白樹にとって必要な人で、彼がこの国を愛していたから。
『千霧、嬉しそうだな』
「月読だって。由良と空良が気に入ったから大人しくしていたんでしょう?」
『ご名答』
「もう……」
調子の良い月読に呆れながら、千霧は白王のもとへ近付いた。