睡恋─彩國演武─
千霧を護ること。
最初からそれだけが、呉羽の使命だった。
──攻撃を受け続け、呉羽はすでに人のカタチをしていなかった。
姿は白虎に戻り、深く傷つき、血に汚れた銀の毛。
「もう……やめ……」
千霧の目から熱い涙が溢れだし、声にならない声で制止しようとする。
だが、その声が呉羽に届くはずもなく、炎の燃える音と共に、力なく耳元で木霊した。
「あぁ、力を消耗してヒトの形を保てなくなったんだね?力の無い猫さんと遊んでも面白くないかな。──終わりにしよう?」
藍が両手を広げ、中心に大きな炎の玉を生む。
「業火よ、全てを焼き尽くせ──」
「やめてぇえぇえぇぇ!」
藍が炎を呉羽に向けて放った刹那、轟音と共に千霧の声が一際大きく響き渡った。
世界が、真白く染まる。