睡恋─彩國演武─
(それにアイさんは、俺を本気で心配してくれた──)
思い詰めたような表情の由良に、千霧はそれ以上は話し掛けず、傷の深い呉羽の手当てを続けた。
由良の治療のおかげで、見た目の傷はだいぶ治ってきている。
けれど、呉羽も藍と同じように、あれからずっと眠ったままだ。
千霧の胸に不安が募っていった。
呉羽に頼りきってただの足手まといになるのが、今の現状。
「もっと強くならなければ。もっと……」
一歩違えたら、呉羽も千霧も、こうして生きては居なかった。
運が良かったから、藍が正気に戻ってくれたから助かった。
……それだけなのだ。
「ん……」
「呉羽?」
今まで何の反応もしなかった呉羽が、微かに瞼をひきつらせた。
そしてゆっくりと、その瞳は光を含んでいく。
「……千霧……様……?」
「無理しないで。安静にしていないと」
喋るだけで、傷が疼くはずだ。
そうでなくとも、吐く息がまだ不規則だから。