睡恋─彩國演武─
「……申し訳……ございません」
「え──?」
「私は……貴方を守れなかった……。守ると誓っ……たのに……」
やっぱり自分の弱さは呉羽を苦しめている、と千霧は俯いて唇を噛んだ。
「責任」という楔で彼を縛って、傷付け、平気な顔をしている。
本当に恐ろしく、罪深いのは自分自身ではないのか。
千霧は首を横に振る。
「──呉羽はちゃんと、約束を守ってくれた」
傷ついたことなんか、呉羽と出会ってから一度もなかった。
知らず知らず守られてきた。
──これが、答え。
アイが教えてくれた、大切なこと。
その一言を聞くと呉羽はまた、安心したように眠りに落ちた。
しばらくしてから、千霧も由良も、看病の疲れが眠気を誘い、倒れるように眠り込んだ。
*
どのくらい経っただろうか。
体を揺すられ、現に戻る。
「……誰?」
ちいさく問うと、明暗のない視界の中に、くっきりと紅い二つの目が浮かび上がった。
思わず声を上げそうになるが、その前に口を押さえられる。
「静かに、ね。千霧」
藍は唇に人差し指を当て、千霧を立たせると腕を引っ張った。
「一緒に来て。見せたいものがあるんだ」
殺気のない藍の声に警戒を解いて、連れられるままに外へ出る。