睡恋─彩國演武─

「……申し訳……ございません」


「え──?」


「私は……貴方を守れなかった……。守ると誓っ……たのに……」


やっぱり自分の弱さは呉羽を苦しめている、と千霧は俯いて唇を噛んだ。

「責任」という楔で彼を縛って、傷付け、平気な顔をしている。

本当に恐ろしく、罪深いのは自分自身ではないのか。

千霧は首を横に振る。


「──呉羽はちゃんと、約束を守ってくれた」


傷ついたことなんか、呉羽と出会ってから一度もなかった。

知らず知らず守られてきた。

──これが、答え。


アイが教えてくれた、大切なこと。

その一言を聞くと呉羽はまた、安心したように眠りに落ちた。


しばらくしてから、千霧も由良も、看病の疲れが眠気を誘い、倒れるように眠り込んだ。





どのくらい経っただろうか。

体を揺すられ、現に戻る。


「……誰?」


ちいさく問うと、明暗のない視界の中に、くっきりと紅い二つの目が浮かび上がった。

思わず声を上げそうになるが、その前に口を押さえられる。


「静かに、ね。千霧」


藍は唇に人差し指を当て、千霧を立たせると腕を引っ張った。


「一緒に来て。見せたいものがあるんだ」


殺気のない藍の声に警戒を解いて、連れられるままに外へ出る。

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