睡恋─彩國演武─
──居る。
何体もの異形が、此方を凝視しているのを感じる。
蛙だろうか、強い怨みと憎しみをぶつけてくる。
頭が、痛い。
藍もそれに気付いたのか体制を整えると、辺りを睨むように見回した。
「──千霧、わかるね?雑魚も数いたら強敵ってね。倒さなきゃこっちが危ない」
「そうだね。──ここで終わるわけにはいかないから」
「じゃあ、向こうから最初の一撃が来たら、同時に逆方向に走って。僕の背中は預ける」
異形の口が縦に割れると、同時に間から石榴のように赤い舌が覗く。
それが瞬く間に伸び、二人の足元の土を弾いた。
地面は深くえぐりとられ、それを合図に千霧と藍はそれぞれ逆方向に走った。
異形の方から無数の舌が伸びて、二人に迫る。
あの威力なら、少し掠っただけでも大量の肉を持っていかれるのは確実。
千霧は俊敏に動き、舌が伸びきった後の僅かな隙を狙って斬りつけながら本体との距離を縮めていく。