睡恋─彩國演武─
一方、藍は好戦的に炎の圏で容赦なく舌先を焼き切りながら進む。
圏が軽く当たるだけで、ジュッと肉の焼ける断末魔が聞こえ、一層彼の本能を騒ぎ立てた。
「まだまだ足りない」
血飛沫に頬を濡らし、舌で舐めとる。
この戦いは、彼にとっては余興でしかない。
たとえ相克の相手であっても負けること、そして怖れることさえ、彼の誇りに傷をつける。
(──悔しい。あの時、もし呉羽が居なかったら僕はこんな雑魚にさえ勝てなかったかもしれない)
己に向かってくる一本の舌先。
彼の眼には、次にどの方向から、どの異形が攻撃してくるのかが見えていた。
藍は次の瞬間、最初に伸びる舌を見抜き、その上に軽々と飛び乗った。
「楽勝!」
足に炎を纏い、その上で舞うように跳ねる。
そしてまた他の舌に飛び移ると、弾みで沈んだ足が表面を焼き、異形が呻く。
その繰り返しで、藍は異形同士の舌を飛び回る。
それはまるで、優雅に綱を渡る軽業師のよう。