睡恋─彩國演武─


手も足も出ずに、それを繰り返されるうち、次第に異形達は己に異変を感じ始めた。

怒りに任せて藍を追っていたが、現状を見れば、焼け焦げて斑になった自らの舌が、仲間の舌と複雑に絡み合っているではないか。

これでは、長い舌も意味をなさない。むしろ邪魔なくらいだ。

身動きさえとれなければ、武器を失ったも同然の状況である。


「……大人しくしてなよ」


ニヤッと藍が残忍な笑みを浮かべる。

それと同時に、反対方向から千霧が役目を追えて戻ってきた。


「敵の動きは封じた。……あとは本体をどうにかしないと」


「そうだね。じゃあ千霧、ここから動かないで。僕に考えがあるから」


「──わかった」


千霧が頷くと、藍は両手を広げ、天を仰いだ。


「我が命に応え、降れ!紅蓮の禍星よ!」


藍が指を鳴らすと、空を割って大きな丸い炎弾(えんだん)が落ちてくる。

それが地に着いた時、再度指を鳴らす。

大輪の蓮華が咲き誇るように、その炎弾が開いてゆく。


「これが朱雀の……」

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