睡恋─彩國演武─

信じられずに絶句した。

身を反転させ、警戒に入る。

「想定外……なんだけど」

あの業火の中で、灰にならないなんて有り得ないはず。


「火気を吸収してる……?」


藍の顔が青ざめていく。

次第に威力を失い、衰えていく炎の中から、巨大化した異形が姿を表した。


「融合した!?」


千霧が驚くのも束の間、光泉が飛沫を上げたかと思うと鋭い刃となって二人を襲ってきた。


『千霧、奴の水気は強力だ。まともにくらえば抑えきれん。──気を付けろ』


月読が焦るなど珍しい。

水の刃が目前に迫った時、腕をぐいっと引っ張られて我に返る。


「莫迦!回避くらいしなよ!」


藍に怒鳴られ、ようやくこの状況の危険さを思い知った。

あんなに自信満々だった藍が余裕を無くしている。

彼自身も、自分の攻撃が効かない相手に戸惑っているようだった。

藍は異形と距離をおくと、千霧をおろして息を整えた。


「……冷静に……なれ……!」


自分を落ち着けるように呟く。

千霧も、なんとか恐怖からくる四肢の震えをおさえようと必死だった。

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