睡恋─彩國演武─
月魂を握り締めれば、汗ばんだ手のひらが不快で。
顔を手で拭い、異形を見据えた。
──哀しい、瞳。
『来るぞ!』
脳裏で月読の声が弾け、今度は避けるが、藍と逆方向に避けたため、千霧と彼は離ればなれになってしまった。
そこから異形の猛攻が続き、近づくことさえ出来ない。
(どうすれば──)
あの異形を倒すには、どうしたら良いのだろう。
焦りが生まれ、千霧は無意識に唇を噛んでいた。
「?……なんだ、これ……」
突然、周囲の景色が白く霞み始めた。
(霧……!?)
藍は辺りを確認するように見回す。
これで一層、異形の攻撃が避けにくくなってしまった。
「あーらら、結構……不味いかもね」
あの異形は相克。
それに加えてあの圧倒的な攻撃力なら、一瞬でも自分に隙ができれば確実に危ない。
(狙いはどっちなんだ……?僕か……千霧か……)
光泉を狙ってこの地に巣食うのなら、守護している藍が標的になる。
しかし、龍が共に居るとなれば別だ。
光泉よりも五行に満ちた存在ならば、喉から手が出るほど欲しいはずである。