睡恋─彩國演武─
さらに不機嫌さを増す藍。
見かねた千霧があわてて仲裁に入る。
「大人二人が喧嘩していたら、由良の教育に悪いでしょう……っ」
由良、と聞いて二人はいがみ合いをぴたりと止めた。
どうやら由良が可愛いのは二人とも同じのようだ。
「ま……アンタと話しても疲れるだけか」
「私も同感です」
相変わらず火花は散っていたが、先程よりはよほど良い。
由良はというと、まだ空良と離れるのが嫌なのか、別れを惜しんでいる。
具現化されているだけなので、彼もアイ同様、光泉から出れば消える存在だった。
「──僕はほら、由良にとり憑いてるようなものだから、成仏しない限り一緒に居るし、身体だって借りれば話せる」
「借りれば、だろ?」
「我が儘言わないで。どっちが兄さんなんだよ」
空良が頭を撫でると、由良は堪えきれずにその胸に抱きついた。
「……っうぅ……っ」
胸が痛い。
どうして空良だけが、居てはいけないのだろう。
ずっと一緒に居るはずだった。
生まれてから、死ぬまで、ずっとずっと、それだけは変わらないと信じていた。
「由良、皆が待ってるよ。行かなきゃ。……ね」
諭されて小さく頷くと、由良はようやく空良を解放した。